年の瀬ひざカックン
以前書いた気がしますが、いわゆる「舟をこぐ」人っているじゃないですか。あ、といっても船頭さんじゃなくて居眠りしてる人のほうね。電車の中とかでよく見る光景です。今年もおそらく忘年会帰りなんだろうなあという方々が気持ちよさそうに舟をこいでる姿を何度かお見かけしました。で、いつも思うのですがあれは倒れそうでなかなか倒れないもんですよね。前に昼間、空いている車内で見かけた方なんかは隣に人が座っていないからか、どんどん揺れが大きくなっていき、本当にもう倒れる!というところまで傾くんですけどそこからフッと復元して決して倒れないんですよ。あれはやはり人間の防御本能なんでしょうかね。あらためて見るとすごい能力だなあと感心しきりだったんですが、先日さらにすごい人をお見かけいたしました。その方もおそらくお酒が入ってたんでしょうね。席は埋まっていましたが車内はそれほど混んではおらず立っている人がちらほらいるくらい。なので乗ってきたその男性はドアの脇のところに寄っかかるようにして目を閉じていました。そしてしばらくするとその人が不意に「カクン」となったのです。ええ、いわゆる「ひざカックン」の状態です。僕も経験がありますが、あれはつり革につかまっててもなるんですよね。これまでに何度か電車で寝過ごして降りるべき駅を通過してエラい目あったこともあるワタクシですから、特にお酒の後とかで今日はちょっと危ないかも!なんて時は、席が空いてもあえて座らないようにするのですが、そんな時でもやってくる睡魔に力が及ばないと不意に「カクン」となってしまい、たいていそこでハッと目が覚めてしまうものの恥ずかしさでそのまま目を開けられず(早く駅に着いてくれ〜!)とココロの中で叫び続けるということになります。まあ僕のことは置いといて。その男性はどうもそれでも目が覚めなかったらしく、その後もたびたび「カクン!」「カクン!」とやるのです。僕はちょうど反対側のドアのところで同じような格好で文庫本を読んでいたんですが、どうしても目の端にその「カクン!」の動きが入るんですよね。そしたらやがてその動きが徐々に大きくなってきたことに気づいたんです。その人は身体を預けてるだけでつり革につかまってはいませんから、だんだんと沈み方が大きくなっていったんです。
(!…うわ、スッゲエな〜……でもアレで倒れないんだ……)
なんかもう気になっちゃって気になっちゃって文庫本どころじゃなくなっちゃってね。読むふりしつつコッソリ観察してたんだけど最後はもうほとんど屈伸状態になっちゃって、でもそれでも倒れないし座り込むでもないし目覚めるでもなくきちんと復元するのがおかしくておかしくて。いやあ人間ってすげえなあ〜!と軽く感動すら覚えましたよ。だけどそんなことしてるうちに駅が近づいてきて、次はその人の寄りかかっている方のドアが開くんだけど果たして大丈夫かな…と思っていたら「まもなく金沢文庫〜金沢文庫です」のアナウンスが流れるやその男性はフッと目を覚まし、ゆっくりと身体の向きをかえてコケることもなく無事に下車していかれたんです。その背中にココロの中で大拍手。なんか、よい年を迎えられそうな気がしましたよ。はい。
ということで、今年もいろいろありましたが皆さま本当にお世話になりました。どうもありがとうございました。よいお正月そしてよい年をお迎えください。
▲
by cicocico
| 2018-12-31 17:12
|
Comments(0)