13日、吉祥寺ストリングスでのブレストークライブは比較的無事に終了いたしました。まだ梅雨はあけていないながら大変暑い日が続く東京地方ですが、そんな暑さの中、足を運んでいただいた皆さま、まことに誠にありがとうございました。そんな皆さまのことを想ってか、涼しげな曲を選んでみましたとご挨拶していた僕らの僕らのリーダー、チャーリーことイノーラさんですがいかがだったでしょうか。おそらくは元気いっぱい勢いのある曲ではなくて、ゆったりめしっとりめの曲が多いということを言いたかったんだと思いますが、そんな独特の言い回し猿回しは多少はあったものの、この日はおおむね安定したトークでステージを進行させていたので、私はてっきりまた
時差ボケになっちゃったのかと心配したくらいです。それにしては特に海外へ行ったというハナシもなかったですし、おそらくまあ何らかの目に見えない条件が重なったかなにかの理由で本来の意味での「いいステージ」になったのでしょう。次回ライブのために挑戦中という『Stardust』を、あくまでも予告編ですよと言いながらさわりだけでなく、まるまる演奏してしまうなどなかなかの太っ腹ぶりも披露し、結局やっちゃったからまた新曲考えなきゃ
…、などとつぶやいて笑いを誘うなど、ユーモアある話しぶりといい相変わらずの素晴らしいハーモニカといい、さすがは僕らの僕らの頼れるリーダーといった夜でした。にもかかわらずあえて「比較的無事に」と書いたのにはもちろんワケがあります。めずらしく好調だったリーダーの隙をついて現われた第二の刺客。そう、それはヤングサトーくんだったのです。彼についてはずっと前、私はとある知り合いから「なんとなくボヤボヤしてるよね」と言われたことがあるのですが、そんな見た目のイメージとはウラハラにメキメキと腕をあげたサトーくんのギターは、近頃はもうリーダーのトークにも遜色ないほど安定感は抜群で
…ってあ、これだと良さが伝わってるんだか分かりづらいですね。えーと、リーダーのハーモニカにも遜色ないほど音色もキレイだし安定感があるのです。ウン、これホント。なので私も全幅の信頼をおいているのですが、この日、オリジナルの『同じ月を食べてる』を演奏した時のこと。曲の最後、エンディングのキメでビシッと終わった!
…と思ったら、
(…ん?アレ……??)
なんとギターだけまだ残っているじゃありませんか。淡々と弾き続けるヤングサトーくん。すかさずリーダーもアドリブフレーズを重ねてきました。
(…ゲ?マジかよ……!?)
どうやらいつの間にかエンディングのサイズが変更になっていたのです。そういえば以前にも『Raindrops Keep Fallin' On My Head』のイントロの尺が倍になっていたことがありました。それは何かのイベントでチャーリーとサトーくんが2人だけで演奏した際に変更したそうなんですが、その後3人でのライブの時に誰もそのことを言ってくれなかったものだから、私ひとりがステージで密かにアセッたと言う出来事があったのです。その時のことが瞬間的によみがえり再び密かにアセる私。しかしどうにかうまく取り繕って(実際にはバレバレだったでしょうけど)なんとか演奏が終わりました。すかさず、
「ええと、今回(前の曲からつなぎのため)いつもと曲の入口が違いましたが出口も違いましたね」
と言う正直なリーダー。ああ、やらかしちゃったなあオレ、と思った私はサイズが変更になっていたことについて、
「…2人は知ってたんでしょ?」
と聞いてみました。するとリーダーはニヤリと笑い、
「いや…サトーくんの仕業…」
と言うではありませんか。なにイィィ〜!?と彼を見ると、いやあやっちゃいましたと苦笑いしてるのです。あとで聞いたらリピートの回数を間違えてたんだそうですが、それにしては堂々とさも当然といった態度で演奏してるもんだから、てっきり自分が間違えたと思っちゃったじゃないですかまったく。ちくそう。いやあギターばかりか態度も大物になってきたじゃないですか。とすっかりダマされる小物の私。さらにこの日はこれだけにとどまりませんでした。それは2部のステージでのこと。予定では『 GOKIGENI-KAGA』と言う割と元気系の曲のはずが、突然、事前のメニューにはなかった『Orange Blossom Special』をやるというリーダー。まあこういうのはよくあることですので特に驚きはしなかったんです。その日その時でお客様からのリクエストも取り入れたりとかね。だからこの時はまた休憩時間の間に曲目を変えたんだなあと思っていたんです。で、超絶のハーモニカ演奏が終わって次の曲に入る時です。
「今度の曲は結構テンポが速くなりがちなんです。今日はまた勢いのある曲の後なので、つられて速くなりすぎないように気をつけてやろうね」
なんてことを話すリーダーに、一瞬、
(…ん?)
となる私。次のオリジナル『雨の予感』も確かにテンポはそこそこあるものの、いつもそんなに飛ばしてはいなかったからです。ふとサトーくんの方に目をやると譜面台には『雨の予感』が広げられています。あれえ?そうだよなあ…なんかしっくりこないなあと思いつつもう一度サトーくんを見ると、口パクでなんか言っているのです。
(…ん?……ご・き・げ・ん・い…かが……って!?…オイマジか!!)
間髪入れずリーダーのカウント!ほとんど反射的にカホンを叩く私!そう、始まったのは『 GOKIGENI-KAGA』。曲目が変わったのではなく、単に1曲追加されただけだったのです。なんとか喰らい付いて演奏に入れたからよかったものの、またしてもサトーくんの完全なフェイクにまんまとしてやられた私。オノレちくそう。いやま、勝手に思い込んでた私がワルイんですけどね。ただ、これまでも意外と私のいないところで変更があったりした経緯があるもんですからね。ついついね。いやあそれにしてもいろんな意味で立派になりましたヤングサトーくんも。これからもずっとそんな感じでいってほしいなあ。うん、ヤングフォーエバー!
と、終演後にリーダーとグラスビールで乾杯する彼の姿に、なんとなくかつての面影を重ねる私なのでありました。うふ。