長くて短いリハーサル 〜TSOの記憶〜
ライブへの期待と不安がひとつになって過ぎ行く日々など稚内。時のたつのは早いものです。年が明け二草粥などすすっているうちにもう出るサンダースの決意表明からあっという間に1ヶ月。私にとってはこれまでで最長となるであろうライブは、演奏時間もさることながら演奏する曲数も最多。それはいったいどんなライブになるんだろう?しっかりやれるだろうか?と、これまで経験したことのない舞台にあれこれ思いをめぐらせる日々。もちろんこういう機会はそうはありませんからやりがいは感じていました。そこでよおしやってやるゼ!と大きなヤリ貝を背負って万全の備えをしようと立ち上がってはみたものの、実際のところ演奏する曲目がわからないことには準備のしようがありません。仕方がないのでトイレに行きたそうな犬のように落ち着きなくそこら辺をウロウロしたり、光田さんのこれまでのアルバムを何となく上の空で聴き流してみたり、新年会で豪華トリすき鍋を食ったりしながら有意義な時間を過ごしていました。そしてようやくメニューが送られてきたのは暦が2月にかわる頃。1回目のリハの前日でした。さらにその後少しして修正版が届きます。
(…うーむ……)
曲目がびっしり書かれたそれは進行表も兼ねており、出演者の出入りや次点の候補曲なども書かれていました。
(…うーむ……)
まだ曲も完全には絞りきれていないのでしょう。おそらくやりたい曲もたくさんあるんでしょうね。なんたってご本人がやりたいこといっぱいできれば全部やりたい最後の最後まで妥協なし手抜きなしタヌキソバのヒトですから。というこの例えもデブジャ(←だからデジャブだよ)。とにもかくにも昔のファイルをあれこれひっくり返しては譜面を探し出し曲順に並べていくという作業を開始したんですが、これだけでけっこうな時間を費やしましたよ。どうしても見つからなかったものは後々用意してもらうことにして、なんとかひととおりそろえてシャ乱Q。というかバタンキュー。ふう。やることはやったという充実感(譜面そろえただけなのに)。あとは野となれ山となれ。リハに行ってのお楽しみ。好きな四字熟語は「現場処理」ってなもんです。こうして迎えたリハーサル初日。チェロのシンコちゃんもバイオリンの森タクさんももちろんワタクシもみんな時間通りに集合。光田さんを交えて今さらながら一応新年のご挨拶。ここでさらに更新された進行表が配られ光田さんから全体的な説明があって、さていよいよリハのスタートです。
「まあ今日はとにかくあたれるだけあたる方向で。で、後ろは振り返らない」
と笑う光田さん。そう、何しろリハは数日間あるといっても曲数が曲数ですから決して時間に余裕などないのです。それこそ油断していると1回通すだけでもいきものがかりになる可能性が高いのです。というか1日がかりになる可能性が高いのです。まずはどんどん音を出していこうという方針に異存はありません。そこで譜面のそろっているものからメニューにそって次々に曲をこなしていきました。
「ハイオッケー。じゃ、これ次は本番で」
「うっひゃ〜〜っ!」
そんなあまりシャレにならないようなシャレを交わしつつも、次々に演奏していくうちに初日のリハはまたたく間に終了。弾き語りのコーナーやインストゥルメンタルの一部は飛ばしたにもかかわらず、やはりけっこうな時間がかかります。それでもきちんとした譜面さえあればすぐに弾きこなしてしまう弦のお二人はさすが。明日が本番だったとしても問題ないんじゃないでしょうか。対して私はというと、もちろん譜面も見ますがどちらかというと曲をカラダに叩き込むというか染み込ませて、その曲の構成やイメージをもとに演奏を作っていくタイプ。幸いなことに今回やる光田さんの曲の多くはカラダに染み込んでいる染み込みオヤジなんですが、やはり最近の新し目の曲や逆にずいぶんとご無沙汰だった曲については早いところ慣れたり思い出したりする必要がありました。そこでそういうものについては音源をもらったりリハの録音を重点的に聴きこんでいきました。
が、リハが進んでいくと、思わぬ落とし穴が待ち受けていたのでありました。
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by cicocico
| 2017-02-28 08:41
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