いざステージへ 〜TSOの記憶〜
鮮やかなブルーのシャツに着替えた光田さんがステージ袖へやってきました。長丁場ですがガンバっていきましょう、と円陣を組むメンバーたちと再び手を重ねます。
「それじゃ行きましょう。本日もよろしくお願いします!」
「はぁあ〜〜い」
と何ともしまりのないかけ声でステージへ向かうワシら。お客様があたたかい拍手で迎えてくれます。本当にありがたいことです。ああ、またこのステージに立ててよかったなという気持ちがジワ〜っと湧いてきました。
(よおしオレも今のこの想いを音にのせて全力でお届けするぜ!でも力みすぎないようにな!)
この期に及んでも自分でも不思議なくらい緊張しなかった私は、落ち着いたワクワク感というか冷静な高揚感みたいなものを感じていました。そして光田さんが登場し、ひときわ大きな拍手から静寂へ。にっこり微笑んだ光田さんのピアノが優しい音色を奏で、いよいよ開演。幕開けの『カゼカヲル』はいいですね。昨年の大編成のバンドでの華やかな演奏ももちろんですが、このブリリアントリオの響きも好きなんです。特にBメロの弦が入って広がっていくところ、サビに向かって花開いていく感じが、シンプルな編成だけにいっそうきわだっていて泣けてきます。大事なオープニングの曲だし、これは何とかサビだけでもハモらなきゃとメニューを見た瞬間に思いましてね。で、昨年1月のリハーサル音源を聴いて音を拾っていったんですが、そうするとたちまち当時のことが蘇ってきました。賑やかでクルシタノシかった日々。それでも笑顔があふれ充実していた時間。クミちゃんカトちゃんケンちゃんの素晴らしきコーラス隊と一緒だったのがまるで昨日のことのよう。この曲はそんな懐かしく鮮やかな記憶とともに私の心に焼きついています。3人の歌声とともに。しかし無情にも時は流れ、季節はまためぐってきたというのに、今は…独り…。
(みんな…どうかオレに力を貸してくれよな…)
そっと心でつぶやいた私はこみ上げてくる熱いものをグッとこらえながら、彼らの分まで想いを込めて歌い始めたのでした(←言っときますけど皆さん元気に活躍されてますから!)。
by cicocico
| 2017-03-21 23:21
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