第3部 〜TSOの記憶〜
軽食のお時間と言いつつ割と早めに出て来ちゃった私たち。ゴメンナサイね。お察しの通りすでにこの時点でだいぶ押していたんです。本当はもう少しゆっくりしていただく予定だったんですが。まだ召し上がってる方もいるしと光田さんも迷ってましたが、何しろこの3部が一番ボリュームがある上、今回曲は削れないということでどうにもやむをえず始めさせていただきました。もちろん食事しながら見てくれてても全然かまわなかったんですが、やはり客席も暗くなったりするしなかなかね。そこは申し訳なかったです。
◇珍曲迷曲ハテナ楽曲コーナー
・誤解されやすい奴
・迷う夢
・Early Bird
・詳しくは言えない
そんな3部の幕開けは一風変わった曲をお届け。光田さんも言ってた通り『誤解されやすい奴』をまさか演奏する日が来るとは思いませんでした。何しろこの曲のモデルは、かつて事務所でスタッフやローディーとして活躍してくれていたMくんなのですから。当時彼をいろいろ面倒見ていた光田さんが、いつも言葉だとお説教になっちゃうんで歌にするからと作ったこの曲。説教を「歌にする」という発想もすごいけど本当に歌にしちゃったというのもすごいス。もう20年くらい前の作品で僕もその彼のことはよく知ってましたが、でももうずいぶん前に事務所を離れてちゃってましたから。そういう意味ではいろんな場面が思い出される1曲ではありました。
◇新曲名曲?楽しめ楽曲コーナー
・anuenue〜虹とあなたと
・新曲 The Road(仮)
昨年書かれたばかりのハワイアン調の『anuenue〜』は僕は今回が初めての演奏でした。サビにガッツリハモりがあって、いつもなら時間的に間に合わなかったかもしれないんだけど、実は昨秋のファンクラブの遠足でやる曲の候補に入ってて、その時にかなり集中して練習したんです。結局演奏では遠足しませんでしたけど、違った、遠足では演奏しませんでしたけど、そのおかげで今回は割とすんなりできたんです。何事もしっかり経験しておくもんですなあ。
◇知る人ぞ知る一部で大ヒット 光田健一代表曲コーナー
・Beginnings!
・君に夢を伝えたい
・東京という街で
・世間She Loves You
・二人は最高〜Just My Love!
・宝物
ライブというのは生き物ナマモノと言われる通り、時に思わぬ出来事が起きたりするものです。おなじみの人気の曲が続いていよいよ本日もクライマックスに向けて、というところでそれは起きました。『世間She Loves You』のイントロが始まり、さあまたみんなでコーラス大会だあ!というところで皆さんを指揮するはずの光田さんがそのままフッと袖に消えたんです。
(!?へ……)
見ているお客さんもなんだ?どうした?と思われたでしょうが、ステージに残された我々3人も同じくなんだ?どうした?状態でしたよ。といってももう演奏を始めちゃいましたからね。どうしたもんかと上手を見ると、それでも森さんもシンコちゃんもフツーに淡々と演奏してましてさすがだなあと思ったんですが、客席の上にたくさんの「?」マークが浮かんでるのが見えましたし、このまま黙ってるのも放送事故みたいになっちゃうかなあとも思ったので、思わずしゃべっちゃったんです。マイクも僕のとこしかなかったし。皆さんも「?」でしょうけど僕らも同じように「?」ですって。で、あとで振り返って我ながらやるなあと思ったのは、この時ひと言ふた言とりとめのない話しをしながらも、つなぎのネタを考えてたってことです。オホホ、冷静でしょ?実際、何があってどのくらいで光田さんが戻ってくるのか全くわかりませんでしたし、おそらくそれほど長くはならないだろうけど、もしかすると2〜3分くらいはつなぐことになるかもって瞬間的に思ったんです。で、まずコーラスを手がかりにして次の曲へ持ってく小ネタが浮かんだんですよ。幸いすぐに光田さんが戻ってきたので披露せずに済んだんですが。それで光田さんが消えた理由はというと「バッテリー切れ」だったんです。光田さんはiPadを使って歌詞を表示させているんですが、あとで聞いたところによると、このコーナーが始まって少ししたら、不意に「バッテリー残10%」という電池の警告メッセージが画面にパッと表示されたんですって。このあとまだ十数曲演奏しなくちゃならないのにどうする!?ってことになって、必死に考えをめぐらせた結果、袖にいるスタッフを呼んであれこれ指示するよりも、唯一自分が抜けられるのがこの『世間〜』のアタマだったので、そこで自ら楽屋の電源アダプターを取ってくるのが最も早く、またステージへの影響も少ないだろうと判断したんだとか。いやあ演奏しながらいろいろ考えてるんですねえ。しゃべりながらネタ考えてるのとはラベルが違いますねえ。そして長いライブではこんなこともあるんですねえ。♪それにしてももはやいっぱいいっぱい〜だったのは我々メンバーでもお客さまでもなく、まさかのiPadくんでありましたとさ。ありゃん。
・リベルタンゴ(A.ピアソラ)
・チャールダッシュ(モンティ)
・君とふたり
・空が好きだった君に
さて、TSOライブもいよいよゴールが近づいてきました。ここでまたブリトリらしく『リベルタンゴ』と、そして森タクさんのアタマじゃなくて超絶バイオリンが光る『チャールダッシュ』。これだけの曲をホント涼しい顔して弾いちゃうところがなにげにカッチョいいよなあ。しかもそんな名演奏の素がポテチだったとは(違)。機会があったらぜひ聴いていただきたいです。そして続く2曲もピアノとストリングスの奏でる旋律とやわらかな響きが美しくて歌とともに自然にスーッと、沁みます。
・こんにちはさようなら
・ありがとうのこと
ついにきました疑惑の笛が!もとい『こんにちはさようなら』が。いや、じっちゃんの名にかけて謎はすべて解けた笛を使ったこの曲。私にまかされたのは間奏でした。わずか8小節とはいえ大事なパートです。そのため先手を打って自主トレに励んだ私ですが、やはり慣れない楽器の演奏は緊張するもの。当日も隙あらば楽屋でギリギリまでピーヒャラピーヒャラ練習するつもりでした。が、開場間際になってハタと気づいたのは、もし途中で私がたて笛を持ってステージに上がったら、その時点でああこの曲をやるんだということがバレちゃうってこと。ガーン!いやお客さまの目は鋭いものです。スタッフにお願いして譜面とともに置いてもらうことも考えましたが、不自然な動きでかえって目立ってもいけないし、何よりたて笛は長くてファイルでは隠しきれなかったのです。
(あちゃ〜〜…)
ブルースリーではありません。このことに気づいて愕然とした私の心の叫びです。やむなく開場前に笛はステージ上に置かれました。あとに残ったのは最も心配な曲を5時間後に、ぶっつけ本番で演奏しなければならないという恐怖!その瞬間がついに訪れたのです。クールに進んでいたライブの終盤に、この日一番の手に汗握る瞬間!なんかね、あとで聞いたんですけどそんなたて笛が奥のスクリーンにアップで映ってたそうですね。そういえばこの日はマルチアングルカメラで撮ってたんだよね。すっかり忘れてましたよ。ひゃー。緊張でプルプルしてるのが映ってたりしたらハズカスイなあ…って今更だけど。そしてそんな個人的なピークを超えたら、ついに本日の50曲目に到達です。『ありがとうのこと』は、光田さんから皆さんへの深い深い愛情が溢れていました。
本編最後の『誓い』もまたスケール感のある1曲です。気持ちを込めながら、同時に今年もこのステージに立てたことや、長かったライブももうすぐ終わりなんだなという感慨を抱きつつ演奏しました。おつきあいいただいた皆さまにはしみじみと、心から感謝です。ありがとうございました。
◇Encore
・青空と人生と(オフコース)
・ありがとね
大好きな小田さんの曲を弾き語りでお届けした光田さんに呼ばれ、再びメンバーがステージへ。これで本当に本日最後の曲は楽器は持たないで、光田さんのピアノにのせて3人でコーラスを歌いました。途中でお約束の眠くなる小芝居をはさみつつも、皆さまへ想いを込めてしっかりと、ありがとね。
大きな大きな拍手に見送られた私たち。楽屋でふと見た時計は20時15分でした。
(……まぁ…、だよね…)
こうして全53曲、6時間を超えたバースデーライブは『Happy♪50曲↑5時間ライブ!』というタイトルをも超えてトシソウオウに(トシソウオウに?)幕を閉じたのでありました。
by cicocico
| 2017-03-28 08:35
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