鎌ヶ谷の長い一日〈終〉
さて、豪華!女優ライト付き2ショット撮影会のあとはザ・ブリリアント6によるスペシャルライブです。1曲目は『宝物』。これは皆さんへの感謝の曲、ご本人にとって大変思い入れのある大事な曲なんだそうです。本当は昼の部の最後にお届けする予定でしたが大幅に押してしまったため悩んだあげく、ラグのお二方のリコーダーを聴いてもらうことを選んだため断腸の思いでカットした団長、イヤ光田さん。十九の団結。もとい、苦渋の決断。まあ推しメンですから。そして実は夜の部もこの時すでに押していたのです。まあ推しメンですから。そこへこの曲を持ってきたのでここから急きょ水面下では曲目曲順に大幅な変更がおこなわれていたのでした。さりげなくアセる私たち。いやまあそうでもなかったな。なんかこうなりそうな気もしてたしみんな多分慣れてるし。ホホホ。次は『Orange』。ちょっとリズムのあるこの曲はリハで色々試した末にカホンで演奏することになりましたが、イメージとしては一番下にチェロがいて僕はそこにおだやかに乗っかるような感じでした。続いて『美しい想い出に』はコンガでシンプルに、『愛に気付いた時』もそれにちょこっと小物をそえる程度。しっとり系のこれらの曲は弦とピアノのアンサンブルがホントにキレイなんだもの。そこへ2声が加わる贅沢。切なさも希望も大きくふくらむなあ。チラッと出るグロッケンも効いてます。
そして夜の部、というか本日を締めくくるのは『君とふたり』。1月のライブにゲストで出演予定だった田中博信さんがどうしても調整がつかなくて歌えなかったこの曲を、今宵は田中さんパートを荒井さん加藤さんワタクシの3人で分け合ってお届け。ああ、色々と思い出が蘇ってくるなあ。最後のコーラスは皆さんも一緒に歌っていただき、また加藤さんには思う存分笑顔を守っていただき、これにてバースデーライブは無事(無事?)終演を迎えたのでありました。お疲れさまでした。そして光田さんは出口でプレゼントを手渡しながら皆さんをお見送り。
(出口はわかりますか?入るとき入口だったところですよ)
ふと、いつかの誰かのそんな言葉を思い出しながら私は着替えを済ませ、撤収作業に入りました。そしてひとりせっせと楽器をバラしていると不意に加藤さんが顔をのぞかせました。
「スイマセン、チコさん、お忙しいところ…」
「アラ、カトさんおつかれさん。どうしたの?」
「あの、シェーカーのことでちょっと…」
「?……」
今回のライブでも荒井さんとともに小物を演奏していた加藤さん。聞けば1月のライブの時に、コーラスのクミちゃんが振りやすいと言ってた楽器が気になっていたんだそうです。
「ああ、そういえばそんなことあったねえ…」
たぶんこれのことだと思うよ、と見せたのは黒いプラスチックの筒を2本つなげたタイプのシェーカー。LPのわりと定番でサックスの庵原さんも持ってたっけ。その他にごく普通の木製の筒型や金属製の筒型、あとはエッグシェーカーを3個袋に入れてつくったお手製のヤツも渡して、簡単にレクチャーしつつそれぞれ試してもらいました。シェーカーは比較的値段も手頃なのが多いよと言うと、
「なるほど色々違うんですねえ。ありがとうございます」
とニッコリして帰っていきました。前回も今回も何かにつけ興味を持って聞いてくる加藤さん。マジメだなあ。なんだか近いうちにシェーカー買うんじゃないかしら。ウフフ。
さて全ての楽器を車に積み込んで会場を出た時には夜の10時を回っていましたが、ちょっと軽くご飯食べていこうよという光田さんのお誘いに、みんなで賀来千香子の、じゃなかった駅近くのびっくりド◯キーにびっくりしないよう慎重に入店しました。僕のテーブルは隣にモリタクさんで向かいには荒井さんと加藤さんが。お隣のテーブルに光田さんシンコちゃんたちが座りました。こちらのお店のメニューはでっかい木製の観音開き式になっていてテーブルの端にドーンと立っているんですね。メニューを開くと僕の顔が半分隠れてしまったので何となく腕を組み、
「古葉監督…」
とうっかりつぶやいてしまったところ、それは誰ですかとすかさず加藤さんが食いついてきたではありませんか。相変わらず耳のいいヒトなんだからもう、ホホホ。そこで古葉監督というのは、当時赤ヘル軍団と呼ばれた広島カープを率いて優勝を重ねた名将であること、いつも立ち位置がベンチの端なのでテレビ中継で時おり映るとたいてい半分くらい見切れていることなどを説明しました。
「へえ〜、それってわりと有名なネタなんですか?」
「あ、えっと、うん、まあ健ちゃんとかならもうすぐわかるかな…」
「へえ〜、そうなんですかぁ……」
素直に感心する加藤さんにちょっと汗。気をつけよう、暗い夜道とヘタなネタ。イヤハヤ。それはさておき料理を頼まねば。ここはハンバーグが色々あるんですが先ほどのディナーの余韻もあるし単品にしようかと迷っていると、
「オレ、ビーフシチューにするわ」
と隣のモリタクさん。
「えっ?ビーフシチューならディナーで食べたじゃん!?」
「いやあ一応食べ比べてみないと、ふふふ…」
「マジで!?」
そして本当にビーフシチューハンバーグを注文してるし。マジすか。このおじいちゃんは時々こうして不可解な行動をとるんだよホント。その向こうではシンコちゃんが何かのハンバーグセットと大盛りフライドポテトにプラスとん汁という個性的なオーダーをしてるし。今も変わらず食欲旺盛元気な子。どうもブリトリ人はみな何かどこか不思議な一面をお持ちのようです。ようやく全員が注文し終え、料理が出てくるのを待っていると、ふと荒井さんが真面目な顔で問いかけてきました。
「あの…、光田さんてあんなにしゃべる人なんですか?」
かつてトリトリのステージを見て、あとで光田さんにトークが長いと言ってたはずの荒井さんにしてこの質問。それほどこの夜の光田さんのフリートークは驚きだったのでしょう。そして私が答える間もなく隣の森翁からおごそかに、
「いや、もっとしゃべる人だね…」
という答えが。え〜っ!?と、コーラスやってるときよりも目をまん丸くして驚いてる荒井さんに、さらに翁の言葉が続きます。
「今日だって、昔の彼ならもっとしゃべった上で曲も削らずにやり通してたな。まあ今は大人になったってことだね。ほっふぉっふぉ」
静かに笑う翁と思わず顔を見合わせる若いお2人。それはまるで村の古老がここに代々伝わるしきたりを後世に伝えんとする伝承風景のようでもありました。思わずその横でそっと、しかし深くうなづく私。
「…自分は口ベタだから、ソロライブの時とかすごい大変で…。ちゃんと話すことを考えていかないとダメなんです…」
加藤さんがポツリ。自身のソロライブが間近に控えているとあって実感がこもっていました。がんばってね。ウン。
「でも当てずっぽうであれだけしゃべってて、最後ちゃんとオチまでつけるのはホントにスゴいです」
リアルに目を丸くする荒井さん。まあ確かにそういうところはスゴいかもねえ。とここへきて妙なところに感心する一同でありました。そんな愉快なお食事会もやがて終電も近づいて順次お開きに。レジで精算しようとするとここは払うからと光田さん。ええ〜?いいの?という我々に、いいからいいから大丈夫と笑顔。おおなんて太っ腹なんでしょう。って、アッ!?これは気前がいいって意味ですからね、念のため。アザっす。ゴチになります。
「ありがと、ごちそうさま」
「ごちそうさま健ちゃん」
「健ちゃん、お地蔵様でした」
と、みなそれぞれお礼をのべて解散。こうして2月13日、午後11時半をまわったところで鎌ヶ谷の長い一日は終わりました。光田さん、メンバーさん、スタッフさんお疲れさまでした。そしてそしてご来場の皆さま、楽しい時間をありがとうございました。
最後にもう一度、HBDTY!
(まもなく4月だけど…)
《終わり》
そして夜の部、というか本日を締めくくるのは『君とふたり』。1月のライブにゲストで出演予定だった田中博信さんがどうしても調整がつかなくて歌えなかったこの曲を、今宵は田中さんパートを荒井さん加藤さんワタクシの3人で分け合ってお届け。ああ、色々と思い出が蘇ってくるなあ。最後のコーラスは皆さんも一緒に歌っていただき、また加藤さんには思う存分笑顔を守っていただき、これにてバースデーライブは無事(無事?)終演を迎えたのでありました。お疲れさまでした。そして光田さんは出口でプレゼントを手渡しながら皆さんをお見送り。
(出口はわかりますか?入るとき入口だったところですよ)
ふと、いつかの誰かのそんな言葉を思い出しながら私は着替えを済ませ、撤収作業に入りました。そしてひとりせっせと楽器をバラしていると不意に加藤さんが顔をのぞかせました。
「スイマセン、チコさん、お忙しいところ…」
「アラ、カトさんおつかれさん。どうしたの?」
「あの、シェーカーのことでちょっと…」
「?……」
今回のライブでも荒井さんとともに小物を演奏していた加藤さん。聞けば1月のライブの時に、コーラスのクミちゃんが振りやすいと言ってた楽器が気になっていたんだそうです。
「ああ、そういえばそんなことあったねえ…」
たぶんこれのことだと思うよ、と見せたのは黒いプラスチックの筒を2本つなげたタイプのシェーカー。LPのわりと定番でサックスの庵原さんも持ってたっけ。その他にごく普通の木製の筒型や金属製の筒型、あとはエッグシェーカーを3個袋に入れてつくったお手製のヤツも渡して、簡単にレクチャーしつつそれぞれ試してもらいました。シェーカーは比較的値段も手頃なのが多いよと言うと、
「なるほど色々違うんですねえ。ありがとうございます」
とニッコリして帰っていきました。前回も今回も何かにつけ興味を持って聞いてくる加藤さん。マジメだなあ。なんだか近いうちにシェーカー買うんじゃないかしら。ウフフ。
さて全ての楽器を車に積み込んで会場を出た時には夜の10時を回っていましたが、ちょっと軽くご飯食べていこうよという光田さんのお誘いに、みんなで賀来千香子の、じゃなかった駅近くのびっくりド◯キーにびっくりしないよう慎重に入店しました。僕のテーブルは隣にモリタクさんで向かいには荒井さんと加藤さんが。お隣のテーブルに光田さんシンコちゃんたちが座りました。こちらのお店のメニューはでっかい木製の観音開き式になっていてテーブルの端にドーンと立っているんですね。メニューを開くと僕の顔が半分隠れてしまったので何となく腕を組み、
「古葉監督…」
とうっかりつぶやいてしまったところ、それは誰ですかとすかさず加藤さんが食いついてきたではありませんか。相変わらず耳のいいヒトなんだからもう、ホホホ。そこで古葉監督というのは、当時赤ヘル軍団と呼ばれた広島カープを率いて優勝を重ねた名将であること、いつも立ち位置がベンチの端なのでテレビ中継で時おり映るとたいてい半分くらい見切れていることなどを説明しました。
「へえ〜、それってわりと有名なネタなんですか?」
「あ、えっと、うん、まあ健ちゃんとかならもうすぐわかるかな…」
「へえ〜、そうなんですかぁ……」
素直に感心する加藤さんにちょっと汗。気をつけよう、暗い夜道とヘタなネタ。イヤハヤ。それはさておき料理を頼まねば。ここはハンバーグが色々あるんですが先ほどのディナーの余韻もあるし単品にしようかと迷っていると、
「オレ、ビーフシチューにするわ」
と隣のモリタクさん。
「えっ?ビーフシチューならディナーで食べたじゃん!?」
「いやあ一応食べ比べてみないと、ふふふ…」
「マジで!?」
そして本当にビーフシチューハンバーグを注文してるし。マジすか。このおじいちゃんは時々こうして不可解な行動をとるんだよホント。その向こうではシンコちゃんが何かのハンバーグセットと大盛りフライドポテトにプラスとん汁という個性的なオーダーをしてるし。今も変わらず食欲旺盛元気な子。どうもブリトリ人はみな何かどこか不思議な一面をお持ちのようです。ようやく全員が注文し終え、料理が出てくるのを待っていると、ふと荒井さんが真面目な顔で問いかけてきました。
「あの…、光田さんてあんなにしゃべる人なんですか?」
かつてトリトリのステージを見て、あとで光田さんにトークが長いと言ってたはずの荒井さんにしてこの質問。それほどこの夜の光田さんのフリートークは驚きだったのでしょう。そして私が答える間もなく隣の森翁からおごそかに、
「いや、もっとしゃべる人だね…」
という答えが。え〜っ!?と、コーラスやってるときよりも目をまん丸くして驚いてる荒井さんに、さらに翁の言葉が続きます。
「今日だって、昔の彼ならもっとしゃべった上で曲も削らずにやり通してたな。まあ今は大人になったってことだね。ほっふぉっふぉ」
静かに笑う翁と思わず顔を見合わせる若いお2人。それはまるで村の古老がここに代々伝わるしきたりを後世に伝えんとする伝承風景のようでもありました。思わずその横でそっと、しかし深くうなづく私。
「…自分は口ベタだから、ソロライブの時とかすごい大変で…。ちゃんと話すことを考えていかないとダメなんです…」
加藤さんがポツリ。自身のソロライブが間近に控えているとあって実感がこもっていました。がんばってね。ウン。
「でも当てずっぽうであれだけしゃべってて、最後ちゃんとオチまでつけるのはホントにスゴいです」
リアルに目を丸くする荒井さん。まあ確かにそういうところはスゴいかもねえ。とここへきて妙なところに感心する一同でありました。そんな愉快なお食事会もやがて終電も近づいて順次お開きに。レジで精算しようとするとここは払うからと光田さん。ええ〜?いいの?という我々に、いいからいいから大丈夫と笑顔。おおなんて太っ腹なんでしょう。って、アッ!?これは気前がいいって意味ですからね、念のため。アザっす。ゴチになります。
「ありがと、ごちそうさま」
「ごちそうさま健ちゃん」
「健ちゃん、お地蔵様でした」
と、みなそれぞれお礼をのべて解散。こうして2月13日、午後11時半をまわったところで鎌ヶ谷の長い一日は終わりました。光田さん、メンバーさん、スタッフさんお疲れさまでした。そしてそしてご来場の皆さま、楽しい時間をありがとうございました。
最後にもう一度、HBDTY!
(まもなく4月だけど…)
《終わり》
by cicocico
| 2016-03-30 23:56
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